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日本の金融系VC(ベンチャーキャピタル)紹介② 政府系金融機関編

 

こんにちは。FCPの片山です。今回は日本の金融系ベンチャー第2弾ということで、金融の中でも政府系のVCについてまとめたいと思います。
金融機関系VCというと、民間のメガバンクや証券会社を思い浮かべるかもしれませんが、実は政府系のVCも多く存在します。証券会社に勤めていた私でも知らなかったり、知っていてもそんな事業をしていることは知らなかったりと新たな発見があったので、皆様の気づきになればと思います。
DBJキャピタル
DBJのコーポレートサイトより引用
DBJキャピタルは、日本政策投資銀行(DBJ)の100%子会社で、DBJグループのベンチャーキャピタルである新規事業投資株式会社と知財開発投資株式会社の統合により、設立されました。
日本政策投資銀行はご存知の方も多いかと思いますが、日本開発銀行の流れを汲み融資・投資・アドバイザリーを行う政府系の銀行で、従業員は1000人を超える規模です。
 
DBJキャピタルの概要
 
設立:平成22年6月30日(法人設立:平成17年10月)
資本金:99百万円
株主:(株)日本政策投資銀行 100%
 
投資理念、投資方針
 
「事業分野や規模にとらわれることなく、新たな技術やビジネスモデルを駆使し、グローバルな競争力を持って成長するベンチャー企業に対し、成長資金としてのエクイティ投資をするだけでなく、DBJをはじめとする様々なネットワークを活用したファイナンス面のサポートや、投資先企業のニーズに合ったDBJグループ全体のソリューションをアレンジ致します」。
「また、企業・研究所・大学に存在する優れた知財・技術の事業化、知財・技術のカーブアウト等について、バリューアップチームによる強力なハンズオンにより、ベンチャー企業の立ち上げをサポート致します」。(DBJキャピタルコーポレートページより引用)
 
投資実績
Exit実績は、ヴィスコ・テクノロジーズ、gumi、リプロセル、CYBERDYNEなどのように大型ではないものの、ITやバイオなどIPOでも注目された銘柄が投資先として多いです。実績を見ると私が証券会社に在籍していた時に、購入希望(ブックビルディング)で人気があり、初値も堅調だった銘柄が多くある印象です。
現在の投資先として個人的に、自然言語処理を用いたAIによる財務自動分析サービスの提供を行っているxenodata lab.に注目しています。先日たまたま関社長からお話を聞く機会があり、開発が上手くいけば従来のリサーチ業務ががかなり楽になるのではないかと思い期待をしています。
 
INCJ
INCJのコーポレートサイトより引用
INCJは、2018年9月、既存の官民ファンドである株式会社産業革新機構から新設分割する形で発足しました。
産業革新機構は、2009年7月、産業や組織の壁を越えて、オープンイノベーションにより次世代の国富を担う産業を育成・創出することを目的に設立されましたが、産業競争力強化法の改正法の施行に伴い、同機構は株式会社産業革新投資機構として、新たな活動を開始しています。民間ファンドでは出来ないリスクテイク機能が特徴です。
ちなみに産業再生機構(現在IGPIで多くの主要メンバーが活躍している)とは別の組織なのでご注意を。
投資理念、投資方針
オープンイノベーションを通じて次世代の国富を担う産業を育成・創出することを目指しており、社会的ニーズへの対応、成長性、革新性を、投資を行う上での基準としています。
投資対象となるセグメントは、素材・化学電子デバイス産業機械エネルギー輸送・自動車消費財・小売(サービス含む)健康・医療(サービス含む)IT・ビジネスサービス・コンテンツインフラ(サービス含む)知的財産です。民間ファンドと比べると、特に社会的なインパクトを重視している印象です。
 
投資実績
INCJのコーポレートサイトより引用
投資決定件数は139件で、Exit件数(売却を開始もしくは完了した案件の累計)は48件です。投資決定件数(計139件)では、アーリー、ベンチャー等が約80%となっていますが、支援決定金額(計1兆3120億円)では再編が60%弱の比率と最も多くなっています。ちなみに支援決定金額ベースでアーリー、ベンチャーは約20%です。また日本のみならず海外企業にも投資をしています。
IPO/PO実績としてジャパンディスプレイやルネサスエレクトロニクスがあるように、VCだけではなく再生ファンド、PEとしての機能が大きいといえるでしょう。
ただ前述のとおり件数ベースではアーリー、ベンチャーが多いことからも、いわゆるVCとしての機能も有しています。
地域経済活性化支援機構(REVIC)
 
地域経済活性化支援機構(REVIC)は中小企業者等の事業再生支援及び地域の活性化支援を行う機関として、2013年3月に前身の企業再生支援機構を改組する形で設立されました。
地域金融機関等とともにファンドを組成し、ファンドからのリスクマネーの供給、有用な経営資源を有しながら過大な債務を負っている中小企業者等の事業再生支援、経営者保証付き債権の買い取りを通じた再チャレンジ支援及び金融機関による事業性評価の向上に資する助言を行う専門家の派遣等の業務を通じて、地域経済の活性化を図るべく事業を行っています。
中小企業を対象にしている点、地域金融機関と共働で事業を行っている点が他にはない特徴といえるでしょう。
地域活性化ファンドや事業再生ファンドの運営業務を行うREVICキャピタル株式会社という子会社がありますが、ここでは全体の紹介をさせていただきます。
 
投資理念、投資方針
先導的な地域活性化・事業再生モデルの創造、地域活性化・事業再生ノウハウの蓄積と浸透
専門人材の確保と育成及び地域への還流の3点を基本方針としています。
また役割としては、事業運営の基本方針に沿って地域金融機関の地域活性化への取組みを支援すること、地域金融機関が、地域経済・産業の現状・課題を踏まえて、地元企業のライフステージに合わせたソリューションを提供するために行う事業性評価を特定専門家派遣業務でサポートするとともに、ソリューション提供ツールとしてのファンドの設立・運営、事業再生を支援することとしています。
 
地域経済活性化支援機構(REVIC)の概要
設立 2009年10月14日〔株式会社企業再生支援機構〕
※2013年3月18日に商号変更
資本金 131億380万円
株主 預金保険機構、農林中央金庫
役職員数 304名(2018年6月26日現在)派遣社員を含む
 
投資に関わる業務
REVICは、中小企業のため地域のためにさまざまな業務を行っていますが、このブログのテーマでもあるVC的な業務についてフォーカスを当ててご紹介します。
主な業務に活性化ファンド業務があります。これはファンドの運営を通して地域経済活性化に貢献するもので、地域の経済成長を牽引する事業者を支援するため、金融機関等と共同して、地域活性化ファンドの運営を行う業務です。
ファンドカデゴリとしては、観光産業支援ファンド、ヘルスケア産業支援ファンド、地域中核企業支援ファンド、ベンチャー・成長企業支援ファンド、災害復興・成長支援ファンドなどが挙げられます。
また直接ファンド運営には関与しない形で、LP出資を通して地域経済活性化・事業再生を支援する業務も行なっています。
業務に必要な資金について、借入金及び社債により調達しており、これらの借入金及び社債については、法律に基づき日本国政府による保証が付されています。
REVICのコーポレートサイトより引用
日本政策金融公庫(JFC)
JFCのコーポレートサイトのコーポレートサイトより
エクイティではなく融資による支援を行う組織ですが、最後に少しだけ日本政策金融公庫を紹介させていただきます。
日本公庫は、「一般の金融機関が行う金融を補完すること」を旨としつつ、国の中小企業・小規模事業者政策や農林漁業政策等に基づき、法律や予算で決められた範囲で金融機能を発揮している政策金融機関です。
 
年間約30万件の事業資金融資を行っており、そのうち、融資金額500万円以下が約50%、3,000万円以下が約90%となっています。新たな事業を始める方、災害や経営環境の変化に対応する方などの資金需要に、少額から応えてきており、日本の中小企業・小規模事業者や農林漁業者等の資金調達において大きな役割を担っています。
創業支援、新事業育成資金、ソーシャルビジネス支援など新たな事業に挑戦する中小企業、ベンチャー企業向け融資制度も充実しています。
私の周りでも新たに事業を起こそうとする人で、日本政策金融公庫の融資を受けている人は多いですし、VCから十分な資金を集められない段階の人や、VCを多く入れることで株式の希薄化を避けたいと思っている人などがVCによる支援と合わせながら活用することも多いようです。
 
今回は日本の金融系ベンチャーキャピタル紹介として政府系金融機関をまとめました。今後は地方銀行系や証券系、保険系のVCを引き続き紹介しています。
 
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