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「国/行政連携」:依存症回復事業とは

皆さんこんにちは、FCPアソシエイトのたこみです。

今回は、FCPが掲げる4つの投資領域のうちの1つである「国/行政連携」から、依存症回復に取り組むベンチャーなどを紹介したいと思います。

今や社会問題ともなっているアルコール・ギャンブル等への依存症。行政も問題解決のために様々な施策を講じている中、民間企業はどのような切り口からこの問題に取り組んでいるのでしょうか。

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当社作成

厚生労働省の調査によると、現在日本にはアルコール依存症患者が109万人、ギャンブル依存症が70万人、薬物依存症が44万人、計223万人の依存症患者がいるとされている。

依存症回復事業に取り組むプレイヤーは病院やNPO法人、一般社団法人、一般財団法人など複数あるものの、患者数に対して圧倒的にその数が少ないことが課題として挙げられる。さらに、病院の場合治療のみであり教育や就労へのサポートが薄いなど、各プレイヤーそれぞれが得意とする分野とそうでない分野が存在するため、回復率が50%前後となってしまっている事も問題である。

この現状から、「回復施設の絶対数の増加」と「回復から就労支援までの一貫したサービスを提供すること」の2点が求められていると考えられる。莫大な市場価値に対してそのプレイヤー規模はその全体を覆うほどまで育っておらず、これからの新規参入や既存企業の成長が期待される領域と言えるだろう。

また、依存症回復事業に取り組む企業の大きな強みとも言える点がもう1つある。それがテーマにも上げた「国/行政連携」という点である。現在、障害者総合支援法に基づき、厚生労働省は、自立訓練(生活訓練)事業に取り組む企業に対し、一日につき一人当たり約7000円(業界平均)の補助金給付を行っている。さらに依存症からの回復に成功した後の就労移行支援を事業とすると、上述支援法を根拠とし、一日につき一人当たり約8000円(同平均)の支援が受けられる。この補助金給付を念頭に、利用者がその料金を支払えないといった経済状況にあったとしても、事業としての成立を見込めるという点は、大きな利点と捉えられる。

国/行政側も福祉の一環として解決すべき問題と定義づけしている中、独力での解決は難しいと判断している際、民間の力を借りようとするのは想像に難くない。新規参入や事業拡大を行う場合に、国/行政からの支援が継続的に見込める典は非常に心強い点と結論付けられるだろう。

最後に、すでに依存症回復事業に関わっている先行事例として、ヒューマンアルバとリタリコワークスについて紹介したい。

なお、ヒューマンアルバはFCP投資先の一つであり、FCPの投資領域の一つ「国/行政連携」を活用した依存症問題を根本から解決するためのサービスの提供を行っている。

リタリコワークスは依存症回復事業の次の段階である、就労支援事業で成功した事例であるため、この場で合わせて紹介したい。

ヒューマンアルバ

回復から就労支援までの一貫したサービスを提供することで再犯のない社会を作ることを目的とした、依存症回復施設の運営を行う企業である。

実際に回復施設に入居し、健全な住環境と治療を同時に提供することで回復を目指しつつ、それのみにとどまらず回復後の教育と就労活動の支援も一貫して行っている。この一貫性を持つ回復サービスの提供の結果として、回復率が80%を超えることを目標としている事業である。

現在は神奈川県川崎市の自社施設にて、この事業を行っている。一日のスケジュールの中には、依存症についての教育や個人カウンセラーとの面談、「認知行動療法×スキーマ療法」 と呼ばれる認知行動療法とスキーマ療法を組み合わせた「薬物離脱ワークブック」をもとに、自分の生き方と向き合っていくプログラムなど、様々な回復に向けた試みが行われている。

費用については川崎市の認可事業(上述にある障害者総合支援法に基づく)であるため、入居者の所得等の済状況によって異なるものの、月4万円~5万円を目安としている。

またヒューマンアルバは、回復から就労までの一貫したサービスを提供しているため、回復施設でもありながら、同時に就労支援施設でもある。よってその両方の点において国/行政からの補助を受けることができている。

リタリコワークス

全国に74拠点を構える事業にまで成長し、売上高が43億円を突破した先行事例がリタリコワークスである。この事業においては、障害者就労支援を中心としたサービスを展開しており、累計就労者数は6000人を超える。障害者の目線での就労支援としては、就職準備や企業インターン、就職活動、職場定着のためのサービスを行う。

また、それだけでなく事業所運営や採用から育成までを支援し、就労移行支援事業所開設支援サービスや障害者雇用コンサルティング、研修サービスなども行っている。

費用はヒューマンアルバと同じく、障害者総合支援法の補助があるため、生活保護受給者や低所得者は無料などの場合、多くはかからないビジネス形態になっている。


今回はFCPの投資領域のうち「国/行政連携」の事業紹介として、依存症回復事業について参照してきた。事例で挙げた2例も、実際に行政からの補助金をそのビジネス形態成立の拠り所の一つとしていたように、国/行政との連携の上で行われる事業は、非常に大きな利点を内包していると結論付けることができるだろう。

導入部でもふれたように依存症回復に係る事業はまだまだ未開拓の領域が多く、その分野における飛躍の可能性は非常に高いといえるだろう。既存企業の事業拡大や、新規プレイヤーによる新事業開拓による、これからの市場開発・発展に期待したい。

最後まで読んでいただいてありがとうございました!

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